久しぶりに父親と過ごす

昨晩夢を見た。

もう何年ぶりだろう、夢に現れたのは亡き父であった。

二人でどこかの海岸で海を眺めていた。

父が言う

「こんな手すりあったか?」

私が応える

「怪我をしたやつがいてさ、手すりが無かったからそいつが怪我をしたって、身内が訴えたんだ。」

「馬鹿なやつがいたもんだな、これさえ無ければいい場所なのに」

「・・・時代だからな」

明け方4時、目が覚めた。涙が溢れていた。

また眠りにつく、その後も夢の続き・・・海岸からやってくる私の知人を見ては父は言った、

「あれは誰だ?」

この質問に私は一つ一つ応えた。夢なのか、現実か理解できないままに・・・

もう何年が過ぎただろう、息子である私よりも若い人間に命を奪われた父。

父の亡骸の前にチンピラ二人を連れてきた若造・・・
ニヤニヤしながら「気が済むまで殴ってください」なんて言ってたな。くそ

父なら「こんな小僧、殺しちまえっ!」って言っただろうな。



でも私には出来なかった。

こんなヤツにも親がいるだろう、もしかしたら恋人もいるかもしれない・・・そんなことを思ってしまった。
私の口から出たのは、

「父に聞こえるように謝れ!」

それが精一杯だった。

情けない息子だよな・・・本当に申し訳ない。本当に申し訳ない。本当に・・・。俺に母や姉、恋人がいなければ何の躊躇も無く殺せたのだろうが。

父さん、あなたは立派だったよ。
今俺の周りにいる口ばっかりの人間よりよっぽどな。

だけど、流行らないらしいな、そのスタイル。

俺はいつ吠えようか?

無駄に吠える必要もないな。

身の丈にちょいと負荷をかけてみるよ。それを今はオーバーエクステンションって言うらしいぜ。

全くみんなカタカナになって格好いいだろ!

そう遠くないだろうが、そのうちそっちに行くよ。
俺をがっかりさせる人間が溢れているんだ、こっちは。

でも僅か、命運を共にできる人間とも出会えた。その人たちとこの先の人生を歩んで行こうと決心した。

さっき海岸で見たあの連中さ。

決死の覚悟で共に戦える仲間だ。信じて欲しい。それまではそっちの仲間と晩酌を楽しんでくれ。

そっちに行ったら、今度こそ心から「ありがとう」を言える気がするよ。