急流で悠然と泳ぐ

あまりにも世の中の流れが早すぎる。そして、その流れの中で必死にもがき、なんとか浮いているものもあれば没していくものもある。かくいう私にも新しい大波が次々と押し寄せ、その数はしばらく減らなそうだ。

 
進み行く技術的な進歩、カレル・チャペックが私に警鐘を鳴らす。
ブルガーコス・ザミャーチンが、サミュエル・バトラが「少しだけ先の世界を見せてあげよう」と囁く。
ロレンス・スターンが「時にははじけろ」と誘う。
ルイス・キャロルが緻密なロジックの重要性を説く。
トマス・ディッシュが、ジャック・ケッチャムが、夢野久作が・・・

「所詮人間なんてこんなものさ」

と、チラリと笑う。

 
でも、皆「自分が人間である」という紛れもない事実が「好き」なのだと言う。
そしてもう一つ、皆が共通して私に言った言葉。

 
「あなたの思考には余裕が足りない」

 
なるほど、おっしゃる通りだ。ここの所「分子」偏重で「分母」がおろそかになっていたな。

原典対照 ルイス・キャロル詩集―不思議の国の言葉たち (ちくま文庫)

原典対照 ルイス・キャロル詩集―不思議の国の言葉たち (ちくま文庫)