映画「カーズ」に見る“まちづくり”

一昨日の晩に食べた何か(生焼けの魚か、微妙なたまご)にヒットし、一昨日の夜から昨日丸1日イケナイ汗をかきながら仕事。今日はだいぶいい。

先週の土曜日(7月2日)、久しぶりに映画を観にいった。家族全員で映画を観に行くのは初めてのことだ! 私も妻も、そして何より二人の息子たちもこの日が来るのを心待ちにしていた。何しろ映画館で映画を観ること自体が初めての息子たち。さらに映画館に来る前、沼津のアーケード名店街(経産省がんばる商店街77選に選ばれた)で行われていた昭和モダンカーショーで往年の名車たちに出会いウォーミングアップしてきたらしく、頭の中は「車、車、車」。そして、観ようという映画が「カーズ」。

と、家族全員が車好きなのもこの映画を観ようという大きなきっかではあるが、それよりも何よりも映画の舞台がRout66沿いの町ということだ! 昨年、家族でカリフォルニア、ネバダアリゾナと車で移動したことがあり、その際HistoricRout66も結構走った。映画の予告編で見た情景が私たちの記憶とオーバーラップしたのである。同時にウィリアムズの町で警察に捕まった記憶も蘇ったが・・・。

いよいよ開演時間となり、全員がレッドゾーン! 長い長い予告フィルムを見せられ、ちょっと回転数が下がったところで、今度こそ開演、再びレッドゾーンへ!

この映画の舞台となる町はRout66沿いにあり、かつては行き交う人たちの立ち寄る場として賑わいのあった町。近年、より移動効率の良い新しい道路が整備され、Rout66もろとも忘れ去られ、地図の上からも地名が消えてしまった町である。そしてこの町には実に多彩な車たちが生活をしている。重要文化財的存在の老婆、海外から移住したもの、退役軍人、都会から癒しを求めやってきてそのまま居着いたもの、ジミヘンと天然素材をこよなく愛する若者や、カスタムペイント命の若者などなど・・・。

そんな中に主人公である若き天才レーサーがひょんなことからこの町へやってくるのである。

この天才レーサーと町の住人が織りなす人間模様が面白おかしく、そして少しセンチメンタルに描かれている。溢れる情報、急激な進化を遂げる技術、そんな流れの中で人々が忘れてしまった「何か」を問いかけてくれる作品だ。

「かつては賑わっていたのに今は・・・」

というセリフは、今の日本でもあちこちの「まち」で聞かれるセリフだ。この映画でもまちで暮らす人たちには「まちへの愛着」「美しいまち」「おもてなしの心」がベースにあり、これを「自然」や「歴史」と言った背景が包み込む。しかし、住人は「このままでは地名だけでなく『私たちも消えてしまう』」と嘆く・・・。

鼻っ柱の強い(孤独な)主人公が、まちの人々と接するうちに変化していく様子と、再びまちが賑わいを取り戻すまでの言わばサクセスストーリーがベタに描かれハッピーエンド。「こんなに上手くはずがない」と言ってしまえばそれでおしまい。しかし「誰もが知っていて、誰もが忘れてしまっている(あるいは知らぬふりをしている)」隠し味がこの映画には随所に散りばめられている。

「まちづくり」の発想・行動だけではなく、「まちづくられ」の実感・感謝が必要なのだと思う。