不特定の異性と性的接触

ここ数日、通勤途中の車の中で聴くラジオ番組から頻繁に「血液が不足しています。献血にご協力を・・・」といったメッセージが流れている。毎朝、毎朝このようなメッセージを聴かされていると、不思議と「そんなに不足しているのか」などと気にかかるようになってくる。更にここ2日くらい、帰りの車の中でも同じメッセージを聴いた。

昨日の仕事中も、ふとしたことでラジオのメッセージが頭を過る。年度末のバタつく業務の中、献血に行く時間もなかろうと思っていたが、夕方ふと空白の時間ができた。夜にはまた仕事が入っているが、それまでには十分間に合う時間だ。

思い切って最寄りの献血センターへGO!

職場から徒歩で1分程の距離にある、はす向かいのビルに献血センターはある。もっというと、数年前まで職場と同じビルに存在していたが、その時は一度も足を踏み入れたことはなかった。

センターにつくと【受付時間:17:30まで】と入り口に書いてあり、時計を見ると17:30ジャスト。とりあえず受付に行き「まだだいじょうぶで・・」と言いかけると「どうぞ!どうぞ!まだ大丈夫です!!」と歓迎ムード満点。ただし、時間のかかる成分献血は既に受付が終了しており、一般的な献血の受付のみだ。一般的な献血には200mlコースと400mlコースがある。もちろんここは400mlだ! と、勇んで受け付けで登録をする。

すると

注意書きのようなものを渡され、「下記に該当する項目が一つでもある方は献血できませんので、申し出て下さい」とのこと。

1.エイズ検査が目的の方
2.この1年間に、不特定の異性との性的接触があった方
3.男性の方でこの1年、男性との性的接触があった方
4.この1年間に、麻薬・覚せい剤を使用した方


などなど。項目の5以降は、海外での滞在経験や、輸血や臓器移植を受けたかなど、なるほど理解し易い項目ばかりであったが、冒頭4つの項目に不謹慎ながら笑ってしまった。私はいずれにも該当しないのですべて「いいえ」で良いのだが、仮に該当項目があったとして・・・言えないだろ〜、普通。一応「不明な点は職員にお訪ね下さい」とあるが、それでも言えないだろ〜。と思っていたら、献血後ある救済策が用意されていた!

それは

万一、先述の項目に該当していながら、受付時に申し出る勇気がなかった人、あるいは後から「あ、そういえば不特定の異性と性的接触をもったっけ!」などと思い出してしまった人の為に、献血した当日中であれば白状することができるフリーダイヤルが用意されているのだ。ここで、献血後にもらえる採血番号と生年月日を伝えれば、血液製剤として血液が使われることはない。もちろんプライバシーは確実に守られることになっている。

それはそれとして

400mlコースにエントリーした私は、事前の血圧の測定と、採血を受けに本丸へ進む。血圧はちょっと高めだが許容範囲とのこと。そして、採血。左手の肘よりちょっと上の部分にゴムチューブをギュっ! 係の方がめぼしい血管を探すため、私の腕をこする・・・「?」、さらにこする・・・「!?」、まだまだこする・・・「!!」。

「腕を変えましょうね」

今度は右腕にゴムチューブ。そして右腕をシュッシュ、シュッシュとこするこする。しかし・・・「!?」。

「ごめんなさい、もう一度左腕を」

再度左腕を舞台に、同じ作業を繰り返す。最後には係の方も困り果て、「恐らくこのあたりに血管があると思うのですが・・・、今回400mlはやめて、200mlで様子を見ましょう」とのこと。献血モード全開の私は「痛かろうが、腫れようが文句は言いませんので、一思いに400mlで頼みますよ」というと、「・・・いや、200mlで」と不安げな様子。さすがにプロがここまで言うのならと、今回は200mlコースに変更し、いよいよ献血がスタート!

スポンジのような、ゴムのような妙な物体を握らされ、献血の最中にこいつをモミモミする。そうすると血流が良くなり、効率的に献血が進む手筈だ。献血マシンには、この血流の善し悪しを知らせるLEDが付いており、緑は絶好調、黄色が普通、赤はイマイチといったように目で分かるようになっている。スタート直後は黄色だった私、もっと景気よく血を流そうと柔らかい物体をモミモミ、ニギニギする。しかし一向にLEDは緑にならない・・・それどころか、いつのまにか赤に!! さらに激しく物体をモミモミするが、結局最後まで血流を示すLEDは赤だった。

そんなこんなで200ml献血コースを終え、受付で献血手帳とボールペン、それと事前事後の注意書きの書かれた資料をいただいて献血センターを後にした。

外に出ると、何とも言えない懐かしい爽快感があった。そう、、冬場に銭湯から外に出た時のような。