初めての韓国(2)

9日、民族村を見終わるとみな空腹の様子。彼等は前日の晩の会話で、私がタッカルビを食べたいと言ったことを覚えていたようで、スンチョン大学の学生御用達のお店を押さえてくれていると言う。

再び大学近くまで戻り、チュンチョン・トシキ・タッカルビという店に連れて行ってくれた。チュンチョンはもともとタッカルビで有名なようで、このお店もチュンチョンが発祥らしい。チュンチョン、スンチョン、、、間違えないように。スンチョンにあるチュンチョン・タッカルビだ。

食事は絶品! ある程度たいらげると、タレや具の残る鍋にポンポンとメシを入れ、韓国海苔をまぶしてくれる。こいつをかき混ぜ仕上げと行く訳だが、本当に美味!!

ここでも店の主が「辛くないか?」「うまいか?」「こうやって喰うとうまいぞ」などと親切に話しかけてくれる。めちゃくちゃ美味いことを告げると、「その顔じゃ、本当に美味しいみたいだな」と粋な返事。とにかく韓国のお店で驚くのは、店の人が食事の大方の世話をしてくれることである。その手際を見ていると思わず唸ってしまったりするのだ。「プロだ!」と。


【スタートアップ時のタッカルビ


【アップグレード時のタッカルビ(これに韓国海苔をまぶしミックス!)】


しかし、

ここでの食事を終えるといよいよ私は釜山に戻らなければならない。そう、みんなとお別れなのだ。

食事を終えると、店の外で学生達が「最後に見たい所は?」と聞いて来た。もちろんそう遠くまで見に行くことはできない。かと言って私もスンチョンにどんな場所があるか全く分かっていない・・・。が、一つひらめいた! 移動中に見えた看板「Sunchon Bay」(スンチョン湾(スンチョンマン))である。

彼等にスンチョン湾を見に行きたいと告げると、喜んで聞き入れてくれた。

後で気づく訳だが、スンチョン湾までは町中から随分距離があった。

スンチョン湾に到着すると、そこにはかつて見た事も無い葦原が延々と広がっているのである。そのスケールにはただただ驚くばかり。葦原の中に遊歩道が設置されており、スンチョン湾内を回遊することができるようになっている。途中干潟のようになっているところには無数のカニカニカニ、ときどきムツゴロウのようなハゼの一種もピョンピョンしていたりする。また、葦原を縫うように水路があり、大きめの水路には舟も通ることができる。スンチョンの若者にとってはお約束のデートコースでもあるらしい。


【スンチョン湾でのスナップ。背後に広がるのは広大な葦原】


およそ一時間、スンチョン湾を堪能した後、高分子工学科の4人とは本当にお別れである。一人一人握手を交わし、また会うことを約束した。「今度は家族で来て下さい」という言葉を残し、彼等彼女等は帰って行ったのだ。感涙

そして残ってくれたO君、Y君、そしてO君の友達は「いざ! 釜山!!」と、私を釜山まで送ってくれるというのだ。

彼等の心意気に感謝しつつも遠慮はなしだ。よ〜し、釜山までレッツゴー!

運転はO君の友達なのだが、この彼、実にユニーク。ハイテクなアイテムで武装されているのだ。携帯端末も一般的な庶民が持っているものとはひと味違う。釜山に向うとなると、ノートパソコンを運転席の後ろのポケットから取り出し、GPSカードを装着。素早く起動させ、パソコンがカーナビに変身! そいつをダッシュボードに固定させれば準備OK。

運転はA教授とは対照的な模範的スタイル(少し安心)。途中トイレ休憩のため小休止。このパーキングエリアでは驚くべき光景を見る事になる。

なんと土産物屋が駐車場にテントを張って商売をしているのだ! 売られているアイテムは歌謡曲のCDから、一般的なお土産、はたまたドライバーやナイフ、歴史の本から食材etc・・・凄い。


【良いとか悪いとかではなく、この商人魂に脱帽】


休憩を済ませいよいよ釜山入り。

彼等も釜山は久しぶりのようで、「有名なビーチがあるから見に行こう」と言う。なんでも韓国で最も有名なビーチなんだとか。

海雲台(ヘイウンデ)というビーチの駐車場に到着。沼津の千本を彷彿とさせる松林でまだ海は見えない。松林をくぐり海辺に出てみると、、、

こりゃ凄い。

奇麗な砂浜に広い海岸線。背後の山には高いところまで建物がびっしり。似てはいるがコートダジュールとも熱海とも違う(なんて表現だ)釜山の風景である。


海雲台


家族連れ、若者のグループ、カップル、海外からの観光客などでとても賑わっていた。まさにこれからがシーズン真っ盛り。ピーク時には砂浜はびっしり海水浴客で埋まるのだそうだ。


【甘酸っぱいカップルを激写、なにやらハートマークまで書いて・・・くぅ】


ビーチの周りには有名なホテルが立ち並び、学生達が「あそこが一番高い、次はあそこ」などと丁寧に教えてくれた。およそビーチには似つかわしくない格好でうろつく男四人・・・。ひとしきり釜山の海を私たちなりに楽しみ、海雲台を後にした。

その後、韓国での最後の食事を4人で食べ、空港近くのホテルで彼等と別れた。「緊急の時はぼくの携帯に連絡を。何時でもいいから」とY君、「明日の朝電話するから」とO君・・・泣けるよ、ほんと。

彼等とも再開を誓い、固い握手を交わした。

こうして、韓国での熱い三日間が終了したのである。人の温かさ、韓国の文化、産業を垣間みる事ができたことはもちろんだが、客観的に自分を見る事のできる貴重な、とても貴重な三日間となった。

韓国での出会い、出来事全てに心からの感謝を。