朝から数多（あまた）の危険を乗り越えて

清々しい日曜日の朝を迎えた。久しぶりに目覚めの良い日曜日！さて、出勤の準備でもするか、と仕事モードに頭が切り替わったとたんに、昨日の悪夢が蘇って来た。

「マ、マフラーをなんとかせねば！」

私の愛車に中途半端にぶら下がったマフラーをとりあえず応急処置しなければ、また電車での通勤になってしまう。電車通勤でも良いのだが、できれば余計な出費は避けたい。そこで、作業に必要になりそうな道具一式を持って駐車場へ向い、ダンボールを敷いた上にゴロンと仰向けに寝転がる。ちょいと手を伸ばし、マフラーの取り付け金具を外そうとするが、流石にスペースが足りないのでジャッキアップをすることにした。

微妙な傾斜のある駐車場だけにジャッキアップに一抹の不安を抱えながらも、早い所作業を終えたいという気持ちが優先し、浮いた車体の下に潜り込んだ。「バッチリ見えるじゃないか！」最初からジャッキアップすれば良かったな〜♪などと鼻歌混じりに作業を再開すると、ザワッ、っと音がした。嫌な予感がしたので車の下から体を出すと、

「ドスン」

車が落っこちて来た・・・。正に間一髪、車の下敷きにならずに済んだ。こうなったら、狭いスペースであろうが、手を突っ込んで作業するしかない。手鏡を左手に、取り付け金具の取り外し作業を再開。２本ある内の１つの留め具は簡単に外れたのだが、もう一つが手強い。少しでも力をいれて外そうとすると「クルッ」と回転してしまい、手がすっぽ抜けてしまう。タオルを巻いたり、レンチで叩いたり、ドライバーを差し込んだり・・・色々試したが中々攻略できない。こうしている間にも時間が過ぎて行く。

（何をチビチビやってやがる、どうせ壊れてるんだ、思い切ってやっちまえよ）

と、時々もう一人の自分が何度となく囁くが、珍しくその声に惑わされず地道に作業を続けた。留め具にドライバーを挟み、レンチでコツコツ、コツコツと振動を与え続ける事数分・・・取れた！（この時のＢＧＭはロッキーのエンディングのテーマ「エイドリア〜ン！！」のとこ）

「ん？何だか手が痛い・・・」

ふと手をみるとあちこち擦り傷だらけだった。ズタボロの右手を勲章に出勤！

今日の一冊

仏教vs.倫理 (ちくま新書)