Debut!

今日、3月7日。あ、いけね・・・もう8日になってた。
2006年3月7日、この日は私にとって忘れられない日となった。昨年の4月から仲間となったYが大舞台を踏む日だったのだ。
 
YはIT系の技術と美術に長け、副所長に見初められて私たちの仲間入りを果たした期待の新人であった。いわゆる「鳴り物入り」の逸材。
 
ちょうどYが入所した頃、私は日本を離れ米国にいたのだが、Yの成長ぶりはメールでつぶさに私の元に届けられており、私と親しい人からも「Yって凄いやつらしいな」と、良いことばかりが聞こえてきた。
 
帰国後・・・
 
Yの母校である国立の教育機関の学生達をインターンで迎え入れる時期、学生のまとめは全てOBであるYに任されていたのだが、一番近い学生はちょっと前までのYの後輩。どうも社会人としてのYと、学生の彼らと大した垣根が見られず、悪い意味でのボーダーレス化が起こった。それ以降Yは自分のペースを摑み損ねた感があり、それまでの精細を欠いたようだった。インターンシップを終えても、どうもYはそれを引きずっているようで、ずっと気になっていた。
 
そんなある日、ある所から職員研修の依頼があった。
 
その内容はパソコンで使うアプリケーション・・・平ったく言うとパソコン研修だ。一つは6時間のパワーポイントの講座、もう一つは12時間のVBAの講座である。
 
パワーポイントの研修は私が担当することにして、VBAについてはYに任せることにした。決意したその時、研修の約2ヶ月前。技術は確かだが、人前で話すことを極端に苦手とするYに、不安が無かったと言えば嘘になるが、それまでこういう機会を与えられることがなかった彼に、悪い言い方をすれば「賭けて」みようと思った。
 
私が彼に任せようと思ってからの2ヶ月間、Yはこの講座のためだけに力を注ぐなんていうことは許されない。日常の業務、ホームページの作りこみ、その他の外部からの依頼案件など、それは忙しい日々であったと思う。何度かロープレを行い、遂に今日・・・
 
「本番」を迎えたのである。
 
とにかく人を前にして言葉を発することが苦手なY。心配していたのだが、いざ講座がスタートすると、その責任感からか、なかなかのリードっぷりであった。途中何度か注意すべきところ、軌道修正があったが、見事に6時間の講座をこなしてくれた。
 
今まで、どちらかというと内部の業務中心に活躍していたYだが、今日、自分の不得手とすることを克服し、あらたな領域に一歩を踏み出したのである。感慨無量だ!
 
6時間の講座が終了後、この日を迎えるにあたって、我々以上に気にかけて下さっていたsmokey氏からYに電話があった。その内容について知る由もないが、きっと暖かい言葉をかけて下さったであろうことは想像に難しくない。smokey氏は実に「あったかクール」な人なのだ!
 
明日も後半の6時間が待ち受けているが、今日よりもほんの少し頼もしいYの姿が見られることを期待している。